美しい月の夜
ラパスに着いて最初の土曜日の夕暮れ、
外から聞こえてくるバンダの音に誘われて、
マルセロの家族と一緒にブッシュ通りに出た。

どこか地方の若者たちのモレナーダに、
十代後半と思しき若者たちのバンダが音楽を付けていた。
「いまは若者たちのバンダの方が仕事が多い。酒代がかからないから。」

そのままブッシュ通りを横切って、ハイチ市場の前にあるマーケットへ行った。
「このマーケット、大きくはないけど、だいたい何でも揃うんだ。」
18才になったマルセロの息子マテオは、日用品をかごに入れてゆく。
「ぼくはこの店知らないよ。」
「そう?ずいぶん前からあるんだけどね。」
街の変化は、冷静に7年の経過を感じさせる。

東の空に、きれいな月が輝いていた。

「この月、クレッシェンドかデクレッシェンドか分かる?」
「デクレッシェンドじゃないのかなぁ?」
「ううん、クレッシェンドだよ。」

マテオも、いつの間にかがっしりとした体格の若者になった。
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月の光は、静かに、美しく、夜道を照らす。
灯りの消えた部屋の隅をも、
ほのかに、優しく照らすのが、月の光だ。

ラパスの街の隅から隅まで、
月の光は知っている。
どこで誰が、何を思っているのか、
月の光は知っている。

黙して語らぬ月の光は、
何から何まで、知っている。
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今宵の月も、息をのむほどに美しい。
明日は冬至である。





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by mixturamusic | 2017-12-21 21:26
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  木下 尊惇 
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