美しきために
福岡、北九州、福岡と続いたコンサートのあと
焼物の里、小鹿田(おんた)を訪れた。

十件の窯元が
昔ながらのスタイルで
普段使いのうつわを制作している。
山間の里の あちらこちらで
川の流れを利用した 唐臼の音が
力強く響く。

一子相伝を頑に守り
ロクロをひき
伝統模様を施して
作者の銘を入れず
登り窯で焼き上げる。

「むやみに 昔を 変えぬように」

柳宗悦の言葉に 共同体の未来を信じた
小鹿田の窯里は
どこを どう歩いても
美しい。
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・・・・・

棚田の一番上の田んぼに
やっと 水が 入り始めた。

川の上流の堰から引き込んだ
パイプの先から水が流れる。

「棚田を作るメリットは?」
「風景が美しくあるために」

美しさは
生きることの
本質的なものなのだ。

もうすぐ ここに ホタルが舞いはじめる。
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# by mixturamusic | 2016-06-01 00:00
作法
新緑の季節
秦野盆地は どこもかしこも
あざやかな緑でモコモコだ。

桜の花に気を取られていると
景色は いつのまにか
一変する。
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今春も 福島・高柴のデコ屋敷で
橋本廣司さんのひょっとこ踊りと
共演させていただいた。

強風ときどき雨の天候のため
今回は屋敷の中での宴
天井に巣をかける
デコツバメも もどっていた。

足しげく通うデコ屋敷
代々伝わる三春張り子の人形は
どれも とても 魅力的。
『素晴らしい』などという言葉が
よそよそしく感じてしまうほど
親しい魅力である。

木型に和紙を貼り
乾かし
型から抜いて
張合わせ
膠と胡粉を塗り
絵付けをする。

江戸時代から続く
人形作りは
行程ごとに
家族が分業する。

寡黙に続く
それぞれの作業。
寡黙から生まれる
人形のいのち。
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寡黙から生まれた
面をつけたとたん
デコ屋敷の神様たちは
陽気な姿で
降りてくる。

屋敷に 代々伝わる
教わらずに
覚える
自由な おどり。

こころの
臓腑まで
開けっぴろげに
おどる。

人形の表情は
ひょっとこ踊り そのもの。
ひょっとこ踊りは
デコ張り子そのもの。

高柴という土地に根付いた
数百年も続く 暮らしの中の
作法である。

・・・・

暮らしの循環を担う
ひとの営みは
自然と作法を紡ぎだす。

自然に
自己を離れ
欲と切り離され
偽らざるいのちの姿が
その営みに現れる。

作法とは
「トントントン」と
紙の角を揃えるための
ものなのだと思う。

・・・・

明々後日から九州。
美しき作法が実践されている
小鹿田にも行けたら…
と 思っている。







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# by mixturamusic | 2016-05-02 08:35
角を揃える
父とはよく 絵や音楽の話をした。
絵も音楽も
その根底は同じだと言うこと。

父は 鍋奉行であった。
人の集まることの多かった我が家では
冬になれば しょっちゅう鍋を囲んでいたが
そんな鍋を取り仕切るのが 父だった。

「そんな入れ方をしたら、きれいでないだろう!」
ヤミ鍋でないかぎり ほかの何鍋であろうと
具を無造作に入れようものなら
誰でも 必ず おこられた。

味の濃いたれを たくさんつけることも嫌った。
「そんなにつけたら、ものの味が分からんくなるだろう!」
そう、食べ物の話もよくした。
絵も音楽も食べ物も
その根底は同じだと言うこと。


今思えば
子どものころから
民藝に囲まれていた。

民藝に括られないものでも
使ってゆけば
やがて民藝になっていった。


絵も音楽も食べ物も
生活のための手仕事も
智慧も宗教も哲学も
森羅万象の流れの中で
「トン トン トン」
と 角を揃えれば
すべてが きれいにまとまるような
そんな気がしてきた。

いろいろな大きさの紙を
「トン トン トン」
とやれば みんな角が揃うように
生きることのいろいろが
きれいに揃うのではなかろうか?
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# by mixturamusic | 2016-04-03 00:01
手前醤油
今年も美味しい醤油が搾れました。

今年も多田家のお庭をお借りして、

今年も長野から
搾り師の岩崎さんをお招きして、

三日間で六樽のもろみが、
みなさんの笑顔と共に、
美味しいお醤油となりました。

搾り舟から滴る
お醤油の美味しさは、

思わずにんまりとするほどに、
思わず笑みがこぼれるほどに、
思わず「美味しい!」と叫んでしまうほどに、

本当に、本当に、
美味しいのです。

それぞれの樽に
それぞれの美味しさ。
それぞれの個性が光ります。

本当に、本当に、
美味しいのです。

この美味しさは、

本物の美味しさ
本質の美味しさ
本能の美味しさ

食通や、グルメや、美食家などとは
全く次元の異なる
真の美味しさです。
生命の輝きです。

今年もお醤油の美味しさに
たくさん、たくさん、
学ばせていただきました。

一年間、
もろみの樽をお世話下さった
もりぶとミカコさん、

本当に、本当に、
ありがとう。
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# by mixturamusic | 2016-02-22 22:17
寒い日の朝
寒い日の朝
ストーブの上で「チーン」と鳴る薬缶の音に
気持ちが穏やかになる。

ときどき湯気を立てながら
静かに しかし
賑やかに
冬の朝の音だ

そんな朝
ときどき土鍋でお粥を炊く。
白く
トロリとした朝粥は
体の芯から温めてくれる。

前日のご飯が残っていれば
野菜をたっぷりと入れた
雑炊もよい。
自然塩と
自家製醤油で薄く味を付けた雑炊は
滋味溢れる美味しさだ。

炎のちから
火のちから

電磁調理器ではこうはいかない。
電子レンジではこうはいかない。

人にとって最も分かりやすい
美意識の一つ
『美味』について
もっと積極的に しかし
もっと謙虚に
考えてみたらどうだろうか?


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# by mixturamusic | 2016-02-10 11:17



  木下 尊惇 
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