豊かな生活
長崎から福岡への道すがら、大村の海を眺めた。
7月初旬、梅雨空からそのまま続いているかのような海が、
静かなさざ波の文様を刻みながら光っていた。

田植えを終えたばかりの田んぼが目に入った。
海から急に迫り上がった棚田である。
そのぎ銘茶の産地だけに、周りには茶畑があり、
果樹らしき木も植えられている。
きっと見えないところに、畑もあるのだろう。
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高速道路を使えば、大村から二時間あまりで福岡に入る。
大都会福岡の中心地天神には、人も車も溢れていた。
東京を凝縮したようなトレンディな店が並び、
街行く人も思いっきりおしゃれである。
おしゃれな靴で、アスファルトの上を闊歩する。
梅雨空は、コンクリートの建物のはるか上である。

九州では、福岡への一極集中が止まらないのだそうだ。
安定した仕事があり、遊ぶ場所があり、旨いものもある。
活躍の場を求めて、豊かな生活を求めて、
九州各地からどんどん人がやってくる。

豊かな生活…

大村の海沿いと、天神の雑踏では、
どちらが豊かな生活をおくるのに相応しいか…?

海も山も田畑もある土地と、
歩けば「カチカチ」音がするビルの谷間とでは、
どちらに豊かな生活があるのだろう?

九州の西には、大村湾のほかに、
有明海、島原湾、八代海、水俣湾といった内海が続く。
さらに南に下がれば薩摩川内に至る。

海辺に暮らす人たちは、
海に出ては漁師をし、
陸に上がっては百姓をして、
慎ましくも、幸せに生活していたはずだ。

社会が貨幣経済を中心に回り始めたとたんに、
『貧しい地域』となってしまった。

貧しい地域の産物は、
富める地域に運ばれて、
富の欲望のために消費される。

飽くなき富める欲望のために、
原発や、基地や、公害や、
ありとあらゆる危険を背負わされてきた。

こんな関係は、もう止めにしたい。
命にとって豊かな場所が、
豊かな暮らしの場所でありたい。
それが真っ当だと、私は思う。

富める欲望に、涎が止まらぬ痴た者どもは、
なにがなんでも、九州電力川内原発を再稼働させたいらしい。


東電の原発事故による被害を見れば、
原発の必要性を訴える、いかなる理由も言い訳にならない事を、
誰もがきちんと理解出来るはずだ。

原発再稼働には、断固として反対する。
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by mixturamusic | 2015-08-10 20:23
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  木下 尊惇 
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