巨匠カブールは
レコーディングでしばしば スタジオに居合わせた誰かに …それが音楽家であろうとなかろうと… 「録音してみる?」 と小さな打楽器を渡す。 「ほら、こんなふうに。」 「・・・・・」 「簡単だろ?」 と、お手本を鳴らして見せて 録音ブースに入れてしまう。 カブールいわく、「世界で一番危険な楽器」の『マッチ箱』。 丸いプラスチックの板に穴を開け、糸で木の実を吊るしただけの『雨の小箱』。 どちらも音楽経験がなくても 簡単に音は出せる楽器だ。 お手本のリズムも至って簡単。 演奏者はヘッドホンを耳につけ 再生音源を聴きながら 夢中でリズムを刻む… 大抵の場合 曲は最後まで行き着く事なく レコーダーは途中で止められて ブースの扉が開けられる。 カブールは笑いながら 「やっぱりいいよ」 「オレが入れるから」 「・・・・・」 巨匠が手にした小さな楽器から聞こえてくるリズムは どこかヨレて聞こえる。 遅れているようにも、走っているようにも… 「きっと録り直し…」 と思っていると カブールはコントールルームに戻ってきて 「これで大丈夫」とニッコリ。 各楽器の音量のバランスを取り直して聞くと… 本当に「これで大丈夫」なのだ。 それも絶妙の間合いで… これぞ巨匠の技!!! リズムには 『絶対リズム』と『相対リズム』がある。 『絶対リズム』とは 時計のリズムであり、メトロノームのリズムである。 『相対リズム』とは 呼吸のリズムであり、歩調のリズムであり、 動作のリズムである。 音楽においては この二つのリズムのバランスが大切である。 『絶対リズム』に制御された音楽は やはりどこかに違和感を感じる。 それは、 分刻み、秒刻みの日常に 大きなストレスを感じるのと同じである。 「私はリズム感がないんです…」 という話をよく聞く。 ・・・・・ 『リズム感がない』と思っていらっしゃるみなさん、 どうぞご安心ください。 リズム感がない人は、一人もいません。 息を合わせれば 歩調を合わせれば 結果としてリズムは合うものです。
by mixturamusic
| 2020-10-28 16:52
| フォルクローレ
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